三線選びには、大きく分けて2種類の購入方法があります。一つは完成品の三線を選ぶ方法。
もう一つの選択肢は、オーダーメイド三線を作る方法です。
オーダーメイド = 上級者向けというイメージがありますが、必ずしもそうではありません。はじめの一本からオーダーメイドで作られる方もいらっしゃいます。
今後の三線との付き合い方を考える上で、そのメリットとデメリットを正確に把握すれば無駄な出費を抑えることにつながります。
完成品にもオーダーメイドにも、どちらにもメリットとデメリットが存在します。購入する人の優先順位によって、このメリットデメリットが大きく左右するといえるでしょう。
ご自身の状況に照らし合わせた上で、最適な三線購入手段は何かを検討されることをお勧めします。
完成品 | オーダーメイド | |
原木の選定 |
× |
◎ |
型の選定 |
△ |
◎ |
音の選定 |
△ |
◎ |
チーガーの選択 |
× |
◎ |
ティーガーの選択 |
△ |
◎ |
購入前の試奏 |
◎ |
× |
値段 | 4万円 ~ 100万円以上 | 20万円 ~ 100万円以上 |
製作期間 | なし | 1年 ~ 2年 |
この表だけみると、オーダーメイドのほうが勝っているように見えます。
当然ですが、オーダーメイドのほうが選択肢が増えるため、どうしても◎の項目が増えます。ポイントは以下の2点です。
1. 自分の欲しい三線のイメージが明確かどうか
2. 今すぐ欲しいか、長期間待てるか
完成三線は、今すぐ欲しい方には最適です。それが最大のメリットと言えます。今日購入すれば、今日家に持ち帰り、すぐに弾けます。
オーダーメイドは反対に短くても半年、長ければ1~2年要します。これが最大のデメリットです。
一方、自分の好みを細かく反映させることができます。色、棹の太さ、音色など、予算に合わせて好みに極力近づけることが可能です。
完成品の場合、たまたま自分の好みのものに出会えれば話は別ですが、なかなかそうはいきません。見た目は好きなんだけど、この見た目で与那城型がよかったとか、音は好きなんだけど黒木の三線が欲しかったなど、思い通りにいかないこともしばしば。
値段の面は、エントリーモデルや低価格三線を除けば、完成品もオーダーメイドも大きく変わりません。
完成品のメリットは、好みの型を手に取りながら確認し、その場で音色選びができることです。店頭に置いてあるものを少し弾いてみれば、好きか嫌いかを体感できます。
各三線店に脚を運び、片っ端から三線を手に取り弾いて好みの音を探す。完成品を購入するこの過程も楽しいですよね。
デメリットは、三線になる前の原木状態が不明ということでしょうか。写真のように、三線の元になる原木がどのような状態だったかは知ることができません。どんなに割れが酷い原木でも、補修を行いながら三線に仕上げることができます。塗りを施してしまえば、素人目には割れが酷かったことは絶対にわかりません。
割れがひどい原木から生まれた三線は、音の伝達が悪いだけじゃなく、劣化により棹が「ポッキリ」折れてしまう可能性もあるのです。
オーダーメイドは、棹になる前の原木の状態から確認することができます。大きな割れは無いか、肌質や木目は整っているかを職人と相談しながら、自分の眼で確認して選べます。
また、オーダーメイドのメリットの一つですが、好みの三線の型を選べて、「握り心地は細めが良い」「握り心地は太目が良い」「音色は張りのある高音タイプが良い」「音色は哀愁漂う優しい音色が良い」など、まさに三線の好みをフルオーダーできることです。写真のように、同じ真壁型でもご自身の身体に合わせた大きさに調整が可能です。装飾品のティーガー(胴巻き)やカラクイ(糸巻き)も選択自在ですので、納得いくまで好みを追求することができます。