1番人気の真壁型と2番人気の与那城型の比較


みなみ三線店 真壁型
真壁型
みなみ三線店 与那城型
与那城型

みなみ三線店で1番多く選ばれてる型は真壁型です。これはオーダーメイドに限らず、世の中の完成品も含めて一番多く出回っているのは真壁型と言われています。入門者から上級者まで幅広い層の方が愛用しています。


2番目に多く選ばれてる型は与那城(ゆなぐしく)型、通称「ユナー」です。2挺目の三線としてよく購入される与那城型ですが、琉球古典奏者がよく愛用しているのを見かけます。その理由は、心の通った音色を1つ1つゆっくり奏でるのに適してるからだと思われます。

 

棹の形状比較 真壁型 vs 与那城型

写真上が真壁型、下が与那城型
写真上が真壁型、下が与那城型

写真上が真壁型、下が与那城型です。真壁型の特徴は、与那城型に比べて棹の横幅はあるが奥行きは無く平べったいことです。


握る部分の横幅が広くても、奥行きが浅いと細身に感じます。真壁型は細身の棹で振動伝達が良く、軽やかな明るい音色を奏でます。

開鐘と呼ばれる三線は、すべてこの真壁型です。


女性や一般的にも多く愛用されるのは、薄型で誰の手にも握りやすいのが理由だと思われます。


与那城型は、横幅は真壁型に比べると狭く、奥行きがあるのが特徴です。正面から見るとシャープに見えますが、棹を横側から見ると貫禄がるので、握ると真壁よりは太く感じます。


真壁型は細身の棹で軽やかな響きを奏でますが、太目の与那城型は心の通る音色を奏でてくれます。


写真上が真壁型、下が与那城型
写真上が真壁型、下が与那城型

写真をご覧いただいてわかる通り、与那城型のほうが太く作られています。実際に真壁型と与那城型を持ち比べるとその違いは歴然としますが、与那城型のほうががっちりした印象を受けるはずです。


比べて真壁型は繊細でしなやかな作りに感じます。

音も見た目に比例し、真壁型は繊細で軽やかな音がし、与那城型は芯の通った力強い音を奏でます。これも棹の構造が作り出す音の振動に影響しているのでしょう。どちらが良いではなく、どちらが好みかによります。


糸蔵の長さ 真壁型 vs 与那城型

糸蔵の長さの違い 写真上が真壁型、下が与那城型
写真上が真壁型、下が与那城型

真壁と与那城の違いで最もわかりやすいのが糸蔵の長さの違いです。糸蔵とは、カラクイが入っている四角い穴部分のことです。

 

真壁型は主に1寸1分の長さなのに対し、与那城は1寸2分5厘と長く作られています。同系統の江戸与那城はさらに長く、1寸6分5厘の作りです。

 

糸蔵の違いによる差はいろいろとありますが、まずこの糸蔵を長く作ることで、顔が面長になります。よって顔の見た目が大きく異なることになります。江戸与那城は顕著ですが、かなり面長になることから、好き嫌いが分かれます。

 

 


写真左が与那城型三線、右が真壁型三線
写真左が与那城、右が真壁

また、糸蔵の長さが変わることで影響を受けるのがカラクイの角度とカラクイ間のスペースです。

 

与那城は糸蔵が長い分、真壁よりも女弦、男弦のカラクイの角度が比較的平行なのがわかるでしょうか。一説には、カラクイの角度が平行のほうがよりカラクイが戻りにくいとも言われます。

 

また、古典奏者が与那城を好む傾向にある理由として、舞踊や組踊の地謡の際、演目中に二揚げや三下げなど調弦を瞬時に変更する必要があるため、カラクイ間のスペースがあるほうが調弦しやすいから、との話も聞きました。

 

このあたりは好みや慣れもあると思いますが、真壁と与那城のわかりやすい違いかもしれませんね。


見た目の美しさ 真壁型 vs 与那城型

真壁型 手に持った角度から見る天の裏
真壁型 手に持った角度から見る天の裏
みなみ三線店 与那城型
与那城型 手に持った時の角度から見る天の裏

真壁型と与那城型は見た目が異なります。寸法の違いはこの際触れずに、実際に一番見るであろう角度から写真で比較しました。常に置き物として立てかけられる場合は別ですが、三線は楽器ですから自らの膝の上に置き、音を奏でます。実はこの角度から三線を見ることが一番多いのではないでしょうか。


真壁型は厚みが薄く、すっきりとして美しい。一方で与那城型は真壁型に比べて厚みがあり、力強く堂々としています。人によっては真壁型は女性らしい美しさがあり、与那城型は男性らしい力強さがあると表現される方もいらっしゃいます。皆さんはどちらがお好きでしょうか。

音の違い 真壁型 vs 与那城型

まずは論より証拠ということで、Youtubeで聴いてみてください。あくまでパソコンを通しての録画ですので、実際の音色とは多少異なりますが、雰囲気はつかめるはずです。

真壁型の音

与那城型の音


材質は両方共にカミゲン黒木です。皮の張りは当然ですが多少違いが出ますし、棹(型)だけの厳密な音の比較はほぼ不可能です。しかしながら、真壁特有の高音がすっきりと抜ける感じは感じて頂けると思います。一方で与那城型は真壁型に比べ、一本芯が通ったような音に感じると思います。音に厚みがある、太いという表現のほうがわかりやすいかもしれません。


このどちらが良いか?ではなく、どちらが好きか?の世界になります。古典奏者は与那城型をよく選ぶのを見かけると書きましたが、与那城型の芯の通った音が古典には合うのでしょうね。