棹の長さが違うのはなぜ?

三線の棹の長さが、実はものによって異なることをみなさんご存じでしょうか?

 

現代の三線の棹の長さは一般的に一尺五寸八分とされています。これは現代の日本人の身体の大きさや、長い年月をかけて改良されてきた結果このサイズになったのです。ちなみに現代のセンチメートルに直すと約47.9cmです。

 

実は王朝時代の古い三線などは、棹の長さが一尺五寸三分 ~ 六分あたりで作られており、現在の三線より随分と短いんです。

 

この長さは、赤い線で書いた範疇の長さを図りますが、現在でも例えば開鐘の写しと言われるような昔の三線をコピーしたものなどは、昔の通り一尺五寸三分などの短い棹で作られることも多いです。


棹の長さが違うことによってどう影響する?

長さが異なる棹
長さが異なる棹

また、意図的に棹を長くしたり、短くするケースもあります。私の師の銘苅春政先生は、とある古典奏者の方からの要望で棹を長くつくることもあるそうです。写真下の江戸与那城は一尺五寸九分ほどの長さで作られており、通常の棹より長く作られています。

 

なぜ棹を長くするのでしょうか?

 

これは、輪ゴムを引っ張る原理で考えるとわかりやすいかもしれません。輪ゴムをピンと張るには両手を遠ざけます。手の間隔を近づけると輪ゴムは緩くなり、柔らかくなります。

 

これを棹の長さに置き換えますと、棹が長くなると弦が引っ張られ、より弦がピンと張ることになります。ピンと張ることで、テンションが高くなり、余韻が長くなり、張りのある音になります。一方で、テンションが高くなることで勘所を押さえる力は短い棹よりやや強めにはなるはずです。

 

それでも主流は一尺五寸八分が標準とされていますので大半がこの長さですが、今後オーダーメイドで音を追求される場合は、棹の長さを長くするのも一つの方法かもしれませんね。