音と弾き心地を決めるブーアティ(部当て)


ブーアティという言葉をご存知でしょうか。三線屋のサイトで、部当てやブーアティと書かれているのを目にした方もいらっしゃるかもしれません。

 

ブーアティとは、三線の核となる棹と胴を適切な角度に接続する大事な工程を指します。この工程をおろそかにすると、弦の角度、弦の弾き心地(柔らかさ)が大きく左右し、さらには音にまで影響します。

良質な棹と胴があったとしても、ブーアティがしっかりなされていなければ良い三線にはなりません。


一般的には定規先端が3部8厘の高さに調整

ブーアティをもうすこし詳しく解説しましょう。

ブーアティとは、三線の棹と胴の接続を適度な位置にするための調整を言います。適度な位置を図るためにブーアーティ定規というものがあり、胴の上下、野坂部分が設置した状態で計測し、歌口の部分との空きが3分8厘が適切とされています。

 

三線はギターなどの他の弦楽器と同じで、弦高が高いとその分弦と野の距離が開くため、指で抑える力が必要になります。弦高が低ければ低いほど弾きやすくなるのですが、その分弦を押さえた際に弦の一部が三線の一部に接触し、きれいな音が出ない原因にもなります。


弦高を下げ、弾きやすい最適な角度に調整します

みなみ三線店では、最も弾きやすい弦高に調整するため、弦高を低めに設定します。

原理は上図に記載しました。三線の心(赤い点線)の猿尾(末端)の部分を気持ち上に上げるようにします。すると、猿尾があがることで棹が寝ます。写真では青い矢印のように、左斜め下に下がります。猿尾を上げた状態ですと野坂も下がってしまうため、心の上部も若干上に押し上げて調整することで弦高を低くし、最適な弾き心地に設定します。結果として棹が寝ることで、3分8厘よりも広く(3分9厘ほど)に開くように設定します。

この上下関係を適切な位置に固定するために、胴の接続部分に竹を付け加えたり削ったりし、微妙な角度を調整していくのです。


非常に細かな作業ですが、このわずかな角度調整で弾きやすさが格段に変わります。

 ブーアティが正確になされていないと、弦が適切な高さで保たれず、音がきれいにならなかったりします。

 

勘の良い方はお気づきかもしれませんが、当然この調整は接続部分だけでなく、歌口の高さ調整も含まれます。これらの細かい調整を行い、弾きやすく澄んだ音の三線が完成するのです。