大や小がつく型って何?


大真壁型と真壁型
大真壁型(上)と真壁型(下)

三線には基本の7つの型(真壁型、与那城型、知念大工型、平仲知念型、南風原型、久場の骨型、久場春殿型)があることはご存知の方も多いと思います。

 

これらの型は昔々の三線製作者の名前から付けられている型の名称ですが、現代においてもこの型を継承し、各三線職人が製作しています。しかしながら三線は手作りですから、真壁型一つとっても各職人によって形状が多少異なります。機械で製作するように、精緻に図面と合致するものではありません。

 

さらに大真壁型(うふまかびがた)や小知念大工(くーちねんでーく型)、小与那城型(くーゆなぐしくがた)と呼ばれる派生の型も存在します。


大(うふ)と小(くー)は文字通り大小を表すもの

小与那城型 枝川 勝作
小与那城型 枝川 勝作

三線を詳しく調べていくと、大真壁型や小与那城型、小知念大工型といった型を見かけることがあります。この大(うふ)や小(くー)という名称は文字通り、大きい、小さいという意味です。

 

大真壁型(うふまかびがた)は、大きい真壁型を指す名称ですので、通常の真壁型より大ぶりな真壁型です。小与那城型(くーゆなぐしくがた)は、こちらも文字通り小さい与那城型の名称です。

 

さて、真壁型と与那城型の違いのページにて人気の真壁型と与那城型に関して比較をしましたが、果たして通常の与那城型と大真壁型はどちらが棹が太いのでしょうか。あるいは小与那城型と真壁型はどちらが細いのでしょうか。結論としてはどちらもあり得ます。

 

さらに、面白いのですが小がつくもの(小与那城型や小知念大工型)には図面が存在しますが、大には図面が存在しません。よって小は図面通りに製作することになりますが、大のほうは完全に創作になるのです。


真壁型三線と小与那城型三線の比較

真壁型三線と小与那城型三線
真壁型(上)、小与那城型(下)
真壁型三線と小与那城型三線
真壁型(上)、小与那城型(下)

さて、実際に写真でその違いを比較してみましょう。写真は真壁型三線(写真上)と小与那城型三線(写真下)です。

天の形状や曲がりは型の違いが明確に感じられますが、棹の太さはどうでしょうか。真壁型三線のほうが横幅はありますが、奥行きは通常与那城型のほうがあるのですが、小与那城型になるとその違いがほとんどわかりません。

実際に組み上げると、小与那城型三線の音色は真壁型のような音色になると思われます。小与那城型三線は、与那城型の見た目で真壁型のような弾き心地と音色、という表現がわかりやすいかもしれません。

与那城型三線と真壁型三線の比較

与那城型三線(上)と大真壁型三線(下)
与那城型三線(上)と大真壁型三線(下)
与那城型三線(上)と大真壁型三線(下)
与那城型三線(上)と大真壁型三線(下)

与那城型三線(上)と大真壁型三線(下)
与那城型三線(上)と大真壁型三線(下)

次に与那城型三線と大真壁(うふまかび)型三線の比較です。

前述のとおり、大真壁型は図面がありませんので、製作者によって大きさはまちまちです。


棹の横幅は大真壁型が与那城型に比べて幅広にとられ、奥行きも大真壁型が多少大きくなっています。


大真壁型三線は与那城型に近い音色を奏でると思われます。

真壁型の見た目の美しさを好み、与那城型の音色、棹の弾き心地を好む型は大真壁型という選択肢もあるかもしれませんね。